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No.1 湿疹・接触皮膚炎
湿疹とは、外からの刺激や体の内側の要因によって、皮膚の一番表面に炎症が起こる状態の総称です。かゆみやヒリヒリとした不快感を伴うことが多く、適切に治療を行えば、元の皮膚に戻る「一時的な炎症」であることが特徴です。

見た目の症状はさまざまで、皮膚が赤くなる、細かいブツブツが出る、小さな水ぶくれができる、ジュクジュクと湿った状態になるなど、複数の症状が混ざって現れます。これらの症状は時間とともに変化し、炎症が長引くと、皮膚が厚く硬くなり、ゴワゴワした状態になることもあります。

このように、湿疹は症状の現れ方や経過が人によって異なり、急に出て自然に治る軽いものから、繰り返して慢性化するものまで幅広くみられる、非常に身近な皮膚トラブルです。その中でも特に多いのが「接触皮膚炎」です。
接触皮膚炎とは、皮膚に触れたものが原因で起こる湿疹のことで、日常生活の中に原因が数多く存在します。石けんや洗剤、アルコール消毒、化粧品、金属、ゴム、衣類の摩擦、汗などが代表的です。

接触皮膚炎には、大きく分けて二つのタイプがあります。一つは「刺激性接触皮膚炎」で、誰にとっても刺激となり得る物質が皮膚に繰り返し触れることで起こります。
手洗いや水仕事が多い方にみられる手荒れは、これに該当します。もう一つは「アレルギー性接触皮膚炎」で、特定の物質に対して体が反応することで起こり、金属アレルギーや化粧品によるかぶれがその代表です。

症状は、原因となったものが触れた部位に出やすく、強いかゆみを伴うことが多いのが特徴です。初めは赤みやかゆみだけでも、放置するとジュクジュクしたり、皮膚が厚く硬くなったりすることがあります。かゆみにより掻き続けることで、さらに悪化
し、治るまでに時間がかかる場合も少なくありません。

治療で大切なのは、まず原因や悪化のきっかけをできるだけ避けることです。加えて、炎症が起きている時期には、塗り薬を用いてしっかり炎症を抑えることが重要です。症状に合った強さの塗り薬を適切な期間使用することで、症状は早く落ち着きます。また、湿疹は皮膚の乾燥と深く関係しているため、保湿ケアも欠かせません。
症状が改善した後も保湿を続けることで、再発しにくい皮膚状態を保つことができます。

湿疹や接触皮膚炎は、「たいしたことがない」と我慢しているうちに慢性化してしまうことがあります。かゆみや赤みが続く場合は、早めに皮膚科を受診し、正しい診断と治療を受けることが、症状を長引かせないための大切なポイントです。

No.2 尋常性ざ瘡(ニキビ)
尋常性ざ瘡(ニキビ)は、思春期だけの悩みではなく、毛穴のつまり(コメド)・皮脂の増加・アクネ菌などによる炎症が重なって起こる「皮膚の病気」です。赤く腫れるニキビをくり返すと、色素沈着や凹凸のあるニキビ跡が残ることがあるため、「できてから対処」よりも、早めに治療して悪化を防ぐことが大切です。

治療は症状に合わせて段階的に行います。まず毛穴のつまりが中心のタイプには、過酸化ベンゾイル(BPO)やアダパレン、必要に応じて両者の配合剤などを用い、コメドができにくい状態に整えます。赤みや膿を伴う炎症性ニキビには、BPOに抗菌薬を組み合わせた外用や、状態により抗菌薬の内服を一定期間追加します。
スキンケアも重要で、洗いすぎを避けつつ、低刺激の洗顔・保湿・紫外線対策を続けることで治療効果が高まります。

こうした標準的な治療を続けても改善が乏しい重症のニキビでは、イソトレチノイン内服という治療を検討することがあります。この薬は皮脂の分泌を強く抑え、ニキビができにくい肌状態へ導くお薬です。長年ニキビに悩んでいる方や、繰り返す重いニキビに高い効果が期待できます。
一方で、唇や肌の乾燥などの副作用が起こりやすく、妊娠中や授乳中の方は使用できません。治療にあたっては、事前に効果や注意点を十分にご説明し、ご理解・ご同意をいただいたうえで行います。

ニキビは「体質だから」とあきらめる必要はありません。症状に合った治療を行うことで、悪化やニキビ跡を防ぐことができます。気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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No.3 アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す、慢性的な皮膚の病気です。乳児期に発症することが多く、成長とともに自然に軽快する方もいますが、成人になっても症状が続く、あるいは再発するケースも少なくありません。
診断の目安としては、「強いかゆみがあること」「左右対称に湿疹が出ること」「症状を繰り返す経過があること」が挙げられます。

発症の背景には、皮膚のバリア機能の弱さと免疫の過剰な反応が関与しています。皮膚のうるおいを保つ役割を担う「フィラグリン」という成分に関係する体質があると、皮膚が乾燥しやすくなり、外からの刺激やアレルゲンの影響を受けやすくなります。その結果、かゆみが生じ、掻くことで皮膚がさらに傷つき、症状が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。

治療の基本は、正確な診断と重症度の評価を行ったうえでの外用治療です。保湿剤で皮膚のバリア機能を整え、炎症が強い部位には症状に応じた強さの外用薬を使用します。近年では、従来の治療で十分な改善が得られない中等症から重症の方に対して、生物学的製剤、JAK阻害薬、非ステロイド外用剤などの新しい治療法の選択肢も増えています。

アトピー性皮膚炎は「治らない病気」と思われがちですが、適切な治療を続けることで症状を安定させ、日常生活に支障のない状態を目指すことができます。当院では、医師・看護師・医療スタッフが連携し、患者さん一人ひとりの症状や生活背景に寄り添った診療を大切にしています。

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No.4 汗疱、手湿疹

汗疱(かんぽう)は、主に手のひらや指、足の裏などに、小さな水ぶくれや湿疹が繰り返し生じる皮膚疾患です。初期には、透明で小さな水疱が突然現れ、かゆみや違和感を伴います。これらは数日から1〜2週間ほどで乾燥し、皮がむけて軽快することが多いものの、同様の症状を繰り返すうちに炎症が慢性化し、赤み、鱗屑、亀裂、痛みなどを伴う手湿疹へ移行することがあります。汗疱と手湿疹は、明確に区別される疾患というより、同一病態の連続した状態として捉えられています。

発症には、皮膚バリア機能の低下が大きく関与しています。頻回の手洗いや水仕事、洗剤やアルコール消毒による刺激に加え、発汗や蒸れが重なることで角層機能が障害され、炎症が起こりやすくなります。また、アトピー素因を背景に持つ方では、症状が長引いたり、再発を繰り返しやすい傾向があります。

さらに、汗疱・手湿疹の一部では、食品中に含まれる金属(特にニッケル)が悪化因子となることがあります。体内に取り込まれた金属が汗とともに排泄され、皮膚への刺激となることで、かゆみや水疱を誘発すると考えられています。ニッケルを多く含む食品としては、豆類、ナッツ類、玄米、蕎麦、オートミール、チョコレート、ココア、貝類、レバーなどが知られています。ただし、すべての汗疱が食事と関係しているわけではなく、金属はあくまで複数ある要因の一つです。

診断は、主に臨床症状と経過から行いますが、症状が長引く場合や治療に反応しにくい場合には、接触皮膚炎、真菌症、掌蹠膿疱症などとの鑑別が重要となります。

治療の基本は、炎症を適切に抑えることと皮膚バリア機能を回復させることです。炎症が強い時期には、症状に応じた強さのステロイド外用薬を用いて、かゆみや湿疹をしっかりと鎮めます。症状が落ち着いた後も、保湿剤によるスキンケアを継続し、再発を防ぐことが重要です。金属アレルギーが疑われる場合でも、自己判断による過度な食事制限は避け、医師の指示のもとで必要最小限の対応を行います。

日常生活では、水仕事の際に綿手袋の上からゴム手袋を着用する、手洗いや消毒後は速やかに保湿を行うなど、皮膚への刺激を減らす工夫が症状の安定につながります。症状が改善しても治療を中断すると再発しやすいため、継続的なケアを心がけることが大切です。

No.5 尋常性疣贅(ウイルス性いぼ)

(じんじょうせいゆうぜい)は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染尋常性疣贅によって生じる皮膚の良性腫瘍で、一般に「ウイルス性いぼ」と呼ばれています。主に手指や足の裏、膝などに生じやすく、小児から成人まで幅広い年齢層にみられる疾患です。

ウイルスは皮膚の小さな傷から侵入し、感染後すぐに症状が出るとは限らず、数週間から数か月の潜伏期間を経ていぼとして現れます。いぼを触ることで別の部位に広がることもあり、放置すると数が増えたり、大きくなったりする場合があります。

診断は主に視診・触診などの臨床所見から行います。足の裏では魚の目(鶏眼)やタコ(胼胝)と鑑別が必要になることもありますが、原因や治療法は異なります。

現在、保険診療で行える尋常性疣贅の治療法は限られており、主に

•液体窒素による冷凍凝固療法

•ヨクイニン(ハトムギ由来の漢方薬)の内服

•スピール膏などの角質剥離剤の外用

が中心となります。いずれも一定の効果は期待できますが、必ずしも治療効果が高いとは言えず、治癒までに時間がかかることが多い疾患です。

特に液体窒素による冷凍凝固療法は、治療時に痛みを伴うことがあり、複数回の通院が必要となります。そのため、途中で治療を中断してしまい、結果として症状が悪化してしまう患者さんも少なくありません。尋常性疣贅は治療に難渋する疾患の一つではありますが、諦めずに治療を継続することが重要です。

難治例に対する治療選択肢として当院では、液体窒素治療を十分な回数行っても改善がみられない難治性の疣贅に対して、次の選択肢としてVビームや炭酸ガスレーザーによる治療をご提案することがあります。これらは自費診療となるため、すべての患者さんに行う治療ではありませんが、保険診療での治療を繰り返しても改善が得られない場合に限って慎重に検討しています。

患者さんの年齢、部位、生活背景、痛みへの不安などを踏まえ、十分にご説明したうえで治療方針を決定しています。

No.6 じんま疹

じんま疹は、突然皮膚の一部が赤く盛り上がり(膨疹)、強いかゆみを伴って出現する皮膚疾患です。発疹は数十分から数時間以内に消えることが多く、同じ場所に固定せず、時間とともに出現部位が移動するのが特徴です。表面がガサガサする湿疹とは異なり、皮膚を掻くことで一気に広がることもあります。じんま疹は決して珍しい病気ではなく、4〜5人に1人が一生に一度は経験するといわれています。症状を繰り返すことで、日常生活や睡眠の質が低下することもあります。症状は主にヒスタミンという物質によって引き起こされます。

初診時に「何かのアレルギーでは?」と心配される方も多いですが、実際には原因が特定できない特発性のじんま疹が7割以上を占めます。食物アレルギーが直接の原因となるケースは少なく、じんま疹というだけで安易にアレルギー検査を行うことは、現在の診療ガイドラインでは推奨されていません。成人では、感染症、疲労、ストレスなどの背景因子に、寒暖差や入浴、運動などの刺激が加わって発症することが多くみられます。

診断は主に問診と症状の経過から行います。受診時には皮疹が消えていることも多いため、症状が出た際に写真を撮っておくと診断の参考になります。

治療の基本は、非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬の内服です。多くの場合はこの治療で症状をコントロールできます。十分な治療を行っても改善しない場合には、抗IgE抗体製剤であるオマリズマブ(ゾレア®︎ )を検討することがあります。症状が長引く場合や日常生活に支障が出ている場合は、早めに皮膚科へご相談ください。

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No.7 皮脂欠乏性湿疹

皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)は、皮膚の皮脂や水分が不足することでバリア機能が低下し、乾燥やかゆみ、湿疹を生じる皮膚疾患です。特に秋から冬にかけて多くみられ、高齢の方に多い一方で、乾燥しやすい体質の方や、入浴や洗浄の習慣により若年層でも発症することがあります。

皮膚は本来、皮脂と角質層の水分によって外部刺激から守られています。しかし、加齢や空気の乾燥、頻回の入浴や石けん・ボディソープの使い過ぎなどにより皮脂量が減少すると、皮膚のバリア機能が低下します。その結果、かゆみが生じ、掻くことで皮膚が傷つき、赤みや湿疹が現れるようになります。この「乾燥→かゆみ→掻破」の悪循環が、症状を慢性化させる要因となります。

症状は、皮膚のつっぱり感や粉をふいたような乾燥から始まり、次第に赤み、細かいひび割れ、かゆみを伴う湿疹へと進行します。特にすねや太もも、背中、腹部、腕などに多くみられ、入浴後や就寝前にかゆみが強くなることがあります。掻き続けることで、湿疹が広がったり、色素沈着を残すこともあります。

診断は、主に皮膚の状態や経過をもとに行います。アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎、真菌感染など、他の皮膚疾患との鑑別が必要な場合もありますが、多くは診察により判断可能です。

治療の基本は、皮膚の乾燥を改善することと炎症を適切に抑えることです。保湿剤を十分に使用して皮膚のバリア機能を回復させることが最も重要で、症状が強い場合には、ステロイド外用薬を併用します。また、かゆみが強い場合には抗ヒスタミン薬を内服することもあります。

日常生活では、入浴時にナイロンタオルなどで強くこすらないこと、熱いお湯を避けること、入浴後は早めに保湿を行うことが大切です。皮脂欠乏性湿疹は、正しいスキンケアと治療を継続することで改善が期待できる疾患です。乾燥やかゆみを我慢せず、早めに皮膚科へご相談ください。

No.8 脂漏性角化症(老人性いぼ)

脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)は、主に加齢に伴って生じる良性の皮膚腫瘍で、一般に「老人性いぼ」と呼ばれています。中高年以降に多くみられ、顔や首、胸部、背中など、皮脂分泌の多い部位や紫外線の影響を受けやすい部位に好発します。褐色から黒褐色の盛り上がった病変として現れ、表面はザラザラしていたり、ベタっとした質感を呈することがあります。

発症には、加齢と紫外線の影響が大きく関与していると考えられています。年齢とともに皮膚細胞の増殖バランスが変化し、表皮細胞が過剰に増えることで病変が形成されます。また、体質的な要因も関係しており、家族内で多発するケースも少なくありません。

通常は無症状のことが多いものの、衣類やアクセサリーなどによる摩擦が加わると、かゆみや赤み、出血を伴うことがあります。病変の数は年齢とともに徐々に増える傾向があり、単発ではなく複数同時に出現することも珍しくありません。

診断は、主に視診や触診などの臨床所見をもとに行いますが、色調や形状の判断が難しい場合には、ダーモスコピー(皮膚拡大鏡)を用いて詳細に観察することがあります。典型的な所見があれば診断は比較的容易ですが、悪性黒色腫や基底細胞癌などの皮膚悪性腫瘍との鑑別が重要となる場合もあります。色や形の変化、急な増大、出血や痛みを伴う場合には、早めの受診が勧められます。

脂漏性角化症は良性腫瘍であり、治療を行わなくても健康上の問題はありません。しかし、見た目が気になる場合や、引っかかって出血を繰り返す場合には治療を検討します。治療法としては、液体窒素による冷凍凝固療法、電気メスや炭酸ガスレーザーによる切除などがあり、病変の大きさや部位、数に応じて適切な方法を選択します。

日常生活では、紫外線対策が発症や増加の予防につながります。日焼け止めの使用や帽子の着用などを心がけることで、皮膚への負担を軽減することが期待できます。

脂漏性角化症は命に関わる病気ではありませんが、自己判断で「ただのいぼ」と決めつけず、気になる皮膚の変化がある場合には皮膚科での診察を受けることが大切です。当院では、診断から治療まで丁寧に行い、患者さん一人ひとりの状態に合わせたご提案を心がけています。

No.9 小児乾燥型湿疹

小児乾燥型湿疹(しょうにかんそうがたしっしん)は、乳幼児から学童期の子どもに多くみられる皮膚疾患で、皮膚の乾燥を背景として、かゆみや湿疹を繰り返すのが特徴です。特に秋から冬にかけて悪化しやすく、暖房による空気の乾燥や、入浴・洗浄習慣の影響を受けやすい疾患です。

子どもの皮膚は、大人に比べて角質層が薄く、皮脂分泌も少ないため、水分が蒸発しやすく、外部刺激に弱い状態にあります。そのため、乾燥によって皮膚のバリア機能が低下すると、かゆみが生じ、掻くことで皮膚が傷つき、さらに炎症が起こるという「乾燥→かゆみ→掻破」の悪循環に陥りやすくなります。

症状は、皮膚のカサカサ感や白い粉をふいたような乾燥から始まり、次第に赤みや細かい湿疹、かゆみを伴うようになります。頬、口の周り、体幹、肘や膝の内側などに多くみられ、夜間や入浴後にかゆみが強くなることがあります。掻き続けることで湿疹が広がったり、かき壊しによる細菌感染(とびひ)を合併することもあります。

小児乾燥型湿疹は、皮膚の乾燥を主な原因として一時的に生じる湿疹であり、適切なスキンケアと治療により比較的改善しやすい点が特徴です。一方、アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴う湿疹を慢性的に繰り返す疾患で、アレルギー素因や体質が深く関与します。症状の持続期間や分布、経過を慎重に見極めながら診断を行います。

 

治療の基本は、十分な保湿によるスキンケアと炎症を抑える外用治療です。保湿剤を毎日継続して使用し、皮膚のバリア機能を整えることが最も重要です。赤みやかゆみが強い場合には、症状に応じてステロイド外用薬を短期間併用します。かゆみが強く、睡眠や日常生活に支障がある場合には、抗ヒスタミン薬を使用することもあります。

保護者の方へ:ご家庭でのケアポイント

•入浴時はナイロンタオルなどでこすらず、泡でやさしく洗いましょう

•熱すぎるお湯は避け、ぬるめのお湯で短時間の入浴を心がけましょう

•入浴後はできるだけ早く全身に保湿剤を塗りましょう

•かゆみがあっても、できるだけ掻かせない工夫(爪を短く切るなど)をしましょう

•自己判断で薬を中止せず、症状に応じて医師の指示を守りましょう

小児乾燥型湿疹は、正しいスキンケアを継続することで改善が期待できる疾患です。かゆみが続く場合や湿疹が悪化する場合には、早めに皮膚科へご相談ください。

No.10 伝染性膿痂疹、膿痂疹性湿疹

伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)は、一般に「とびひ」と呼ばれる皮膚の感染症で、主に乳幼児から小児に多くみられます。皮膚にできた小さな傷や湿疹、虫刺されなどをきっかけに細菌が感染して発症します。非常に感染力が強く、掻いた手で別の部位を触ることで、火が飛び移るように病変が広がることから「とびひ」と呼ばれています。

原因となる細菌は、黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌です。初期には赤みや小さな水疱が現れ、水疱が破れるとただれた状態となり、黄色いかさぶたを形成します。かゆみを伴うことが多く、掻き壊すことで病変が急速に広がります。

膿痂疹性湿疹(のうかしんせいしっしん)は、もともと存在していた湿疹(アトピー性皮膚炎や小児乾燥型湿疹など)に細菌感染が加わった状態です。皮膚のバリア機能が低下している部位では細菌が増殖しやすく、症状が重症化・長期化しやすい傾向があります。

診断は、皮膚の状態や病変の広がり方をもとに行います。多くは視診で診断可能ですが、症状が強い場合や治療に反応しにくい場合には、細菌検査を行うこともあります。

治療の基本は、感染のコントロールと皮膚の清潔保持です。軽症の場合は抗菌薬の外用で改善することが多く、病変が広範囲に及ぶ場合や重症例では抗菌薬の内服を併用します。膿痂疹性湿疹では、感染の治療と同時に湿疹の炎症を適切に抑える必要があり、抗菌薬とステロイド外用薬を組み合わせて使用します。

保護者の方へ:ご家庭でのケアポイント

•患部はやさしく洗い、清潔を保ちましょう

•かさぶたは無理に剥がさず、医師の指示に従いましょう

•爪は短く切り、掻き壊しを防ぎましょう

•タオルや衣類、寝具の共用は避けましょう

•処方された薬は、症状が軽くなっても指示通り使用しましょう

伝染性膿痂疹は感染力が強いため、病変が広がっている間や浸出液が多い場合は、登園・登校を控えることが望まれます。
抗菌治療により新しい病変が出なくなり、患部をガーゼなどで覆える状態になれば、登園・登校が可能とされることが一般的ですが、最終的な判断は症状の程度により異なります。必ず医師の指示に従ってください。

伝染性膿痂疹は、適切な治療を行えば改善が期待できる疾患です。一方で、放置すると短期間で広がり、周囲への感染の原因となります。水ぶくれやただれが急に増えた場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。

No.11 足白癬(水虫)

足白癬(あしはくせん)は、一般に「水虫」と呼ばれる皮膚の感染症で、白癬菌(皮膚糸状菌)という真菌(カビ)が足の皮膚に感染することで発症します。白癬菌は高温多湿の環境を好むため、特に梅雨から夏にかけて悪化しやすく、年齢や性別を問わずみられる非常に身近な疾患です。

感染は、白癬菌が付着した床やマット、スリッパなどを介して起こります。足の皮膚に小さな傷があったり、長時間蒸れた状態が続くと、菌が皮膚に侵入しやすくなります。家族内や公共施設(温泉、プール、ジムなど)で感染することもあります。

症状は病型によって異なります。足の指の間が白くふやけて皮がむける趾間型、足の裏やかかとが乾燥して角質が厚くなる角質増殖型、足の裏や土踏まずに小さな水ぶくれができる小水疱型などがあります。かゆみを伴うこともありますが、角質増殖型のように自覚症状が乏しく、「水虫とは思っていなかった」というケースも少なくありません。

診断は、皮膚の状態を確認したうえで、患部の角質を採取し、顕微鏡で白癬菌の有無を調べる真菌検査を行います。汗疱や掌蹠膿疱症など、見た目が似た疾患も多いため、自己判断で治療を始めるのではなく、検査による診断が重要です。

治療の基本は抗真菌薬の外用です。症状が改善しても皮膚の中に菌が残っていることが多いため、見た目が治ってからも一定期間、治療を継続する必要があります。角質が厚い場合や外用治療で十分な効果が得られない場合には、抗真菌薬の内服を併用することもあります。

日常生活では、足を清潔で乾燥した状態に保つことが再発予防につながります。入浴後は指の間までしっかり乾かし、通気性の良い靴や靴下を選びましょう。また、靴を毎日替える、足拭きマットやスリッパを共用しないといった工夫も大切です。

足白癬は、適切な診断と治療を行えば改善が期待できる疾患です。一方で、治療を途中で中断すると再発しやすく、爪白癬(爪水虫)へ進行することもあります。足の皮むけやかゆみが気になる場合は、早めに皮膚科へご相談ください。

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No.12 脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、皮脂の分泌が多い部位に生じる慢性的な皮膚炎で、赤みやフケ、かゆみを伴うことが特徴です。頭皮、顔(眉毛周囲・鼻の周囲・額)、耳の周囲、胸部、背中などに好発し、乳児から成人まで幅広い年齢層にみられます。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しやすい点も、この疾患の特徴です。

発症には、皮脂分泌の増加と、皮膚の常在菌であるマラセチア属真菌(カビ)の関与が深く関係していると考えられています。マラセチアは健康な皮膚にも存在する菌ですが、皮脂が多い環境では増殖しやすく、その代謝産物が皮膚を刺激することで炎症を引き起こします。さらに、ストレスや疲労、睡眠不足、季節の変化、ホルモンバランスの変動なども、症状を悪化させる要因となります。

症状は部位によって異なります。頭皮ではフケが増え、かゆみや赤みを伴うことがあります。顔では、眉毛や小鼻の周囲を中心に赤みと皮むけがみられ、「粉をふいたような状態」になることがあります。乳児では「乳児脂漏性皮膚炎」として、生後数週から数か月の間に、頭部や眉毛に黄色いかさぶた状の皮疹がみられることがあります。

診断は、皮疹の分布や性状、経過をもとに行います。アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、酒さなど、見た目が似ている疾患との鑑別が重要です。

治療の基本は、炎症を抑える治療と原因に対する治療を組み合わせて行うことです。症状が強い場合には、ステロイド外用薬を短期間使用して赤みやかゆみを抑えます。あわせて、抗真菌薬であるケトコナゾール(ニゾラール®クリーム)を外用することで、マラセチアの増殖を抑え、再発を防ぎます。頭皮病変に対しては、ケトコナゾール(ニゾラール®ローション)や、抗真菌成分を含むシャンプー(コラージュフルフルプレミアム®など)を使用することがあります。

日常生活では、皮脂を過剰に取りすぎないよう注意しながら、皮膚を清潔に保つことが大切です。洗顔や洗髪のしすぎ、強いこすり洗いは乾燥を招き、かえって皮脂分泌を亢進させ、症状を悪化させることがあります。規則正しい生活や十分な睡眠、ストレス管理も症状の安定につながります。

脂漏性皮膚炎は、適切な治療とスキンケアを継続することでコントロールが可能な疾患です。一方で、自己判断で治療を中断すると再発しやすい特徴があります。フケや赤み、かゆみが続く場合は、早めに皮膚科へご相談ください。

No.13 色素性母斑(ほくろ)

色素性母斑(しきそせいぼはん)は、一般に「ほくろ」と呼ばれる良性の皮膚病変で、皮膚の色素を産生するメラノサイトが増殖することで生じます。生まれつき存在するものもあれば、成長とともに新たに出現するものもあり、年齢や性別を問わず多くの方にみられる、非常に身近な皮膚所見です。

色素性母斑の見た目はさまざまで、平らな茶色〜黒色の斑点として認められるものから、盛り上がったもの、表面がざらついているもの、毛が生えているものまで多岐にわたります。大きさや色調、形状には個人差があり、同じ方の体に複数のタイプが混在することも珍しくありません。

発症の正確な原因は明らかではありませんが、遺伝的要因や紫外線の影響が関与していると考えられています。紫外線はメラノサイトを刺激し、色素沈着や母斑の増大を促す要因となるため、日常的な紫外線対策は重要です。

多くの色素性母斑は良性で、痛みやかゆみなどの自覚症状を伴うことはほとんどありません。そのため、医学的に必ずしも治療が必要なものではありませんが、見た目が気になる場合や、衣類やひげ剃りなどで引っかかり、出血を繰り返す場合には、治療を検討することがあります。

一方で、色素性母斑と見た目が似ている疾患の中には、悪性黒色腫(メラノーマ)や基底細胞がんなどの皮膚がんが含まれることがあります。色や形が急に変化した、左右非対称になった、境界が不整になった、短期間で大きくなった、出血や痛みを伴うといった変化がみられる場合には注意が必要です。

診断は、主に視診や触診などの臨床所見をもとに行います。必要に応じて、**ダーモスコピー(皮膚拡大鏡)**を用いて色素構造や血管の状態を詳しく観察し、良性か悪性かを判断します。悪性が疑われる場合には、局所麻酔下に切除し、病理組織検査を行うこともあります。

治療方法は、母斑の大きさや深さ、部位、性状などを考慮して選択します。小さく浅いものでは炭酸ガスレーザーによる治療が選択されることもありますが、深い母斑や悪性が否定できない場合には外科的切除が適応となります。それぞれの治療法には利点と注意点があるため、十分な説明のもとで方針を決定することが大切です。

色素性母斑は多くの場合良性で、経過観察のみで問題ありません。しかし、自己判断で「ただのほくろ」と決めつけず、気になる変化がある場合には皮膚科での診察を受けることが重要です。当院では、専門的な視点で丁寧に診断を行い、患者さん一人ひとりに合わせた適切な対応をご提案しています。

No.14 痒疹、結節性痒疹

痒疹(ようしん)は、強いかゆみを伴う丘疹や結節が慢性的に出現する皮膚疾患です。かゆみが非常に強く、掻くことで皮疹が悪化し、さらにかゆみが増すという悪循環に陥りやすいことが特徴で、小児から高齢者まで幅広い年齢層にみられます。

痒疹の中でも、硬く盛り上がった結節状の皮疹が多発し、長期間持続するものを結節性痒疹と呼びます。強いかゆみにより掻破が繰り返されることで、皮膚が厚く硬くなり、色素沈着を伴うこともあります。

発症には、虫刺され、アトピー素因、皮膚の乾燥、内臓疾患、精神的ストレスなど、複数の要因が関与すると考えられています。皮膚の知覚神経が過敏になることで、かゆみを感じやすくなり、症状が長引く場合もあります。

症状は、腕や脚などの露出部に多く、赤褐色の丘疹や結節が散在します。夜間や安静時にかゆみが強くなり、無意識に掻き壊してしまう方も少なくありません。掻き続けることで皮膚は硬くなり、治療に時間を要するようになります。

診断は、皮疹の形状や分布、経過をもとに行います。アトピー性皮膚炎や蕁麻疹、疥癬など、他のかゆみを伴う疾患との鑑別が重要で、必要に応じて皮膚生検を行うこともあります。

治療の基本は、かゆみを抑え、掻く行為を止めることです。ステロイド外用薬を中心に治療を行い、必要に応じて抗ヒスタミン薬の内服を併用します。結節性痒疹では、ステロイドテープや冷凍凝固療法などを組み合わせることもあります。
これらの治療で十分な効果が得られない難治例に対しては、デュピルマブ(デュピクセント®)やネモリズマブ(ミチーガ®)といった生物学的製剤による治療が選択肢となる場合があります。これらの治療は、一定の条件を満たした難治例に対して保険適用で使用可能であり、標準治療を十分に行っても症状が改善しない場合に、医師が慎重に判断したうえで導入されます。

日常生活では、十分な保湿と刺激の回避が重要です。痒疹・結節性痒疹は治療に時間がかかることもありますが、適切な治療を段階的に行うことで改善が期待できます。強いかゆみが続く場合は、早めに皮膚科へご相談ください。

No.15 円形脱毛症

円形脱毛症は、突然円形または楕円形の脱毛斑が生じる疾患で、年齢や性別を問わず発症します。1か所のみの軽症例から、複数箇所に脱毛が広がる場合、頭髪全体や眉毛・まつ毛、体毛にまで及ぶ重症例まで、症状の程度はさまざまです。

発症の主な原因は、自己免疫反応と考えられています。本来は外敵から体を守る免疫が、誤って毛根を攻撃してしまうことで、毛の成長が妨げられ脱毛が起こります。ストレスが直接の原因と誤解されがちですが、ストレスはあくまで発症や悪化の「きっかけ」の一つであり、根本的な原因ではありません。アトピー素因や甲状腺疾患など、他の自己免疫疾患を合併することもあります。

症状は、境界がはっきりした脱毛斑として現れることが多く、脱毛部の皮膚は赤みやかゆみを伴わず、一見正常に見えるのが特徴です。脱毛斑の周囲に「感嘆符毛」と呼ばれる短く細い毛がみられることもあります。進行すると、脱毛範囲が拡大したり、新たな脱毛斑が出現することがあります。

診断は、視診や触診を中心に行います。必要に応じてダーモスコピーを用いて毛根の状態を確認したり、血液検査で合併疾患の有無を調べることもあります。脱毛症には他にもさまざまな原因があるため、正確な診断が重要です。

治療は、脱毛の範囲や年齢、進行の程度に応じて選択します。軽症例では、ステロイド外用薬や紫外線療法を行います。脱毛の進行が急速な場合には、ステロイド内服やステロイドパルス療法(点滴治療)を行うことがあります。また、脱毛斑の一部で発毛が乏しい場合には、ステロイド局所注射を行うこともあります。

近年では、従来の治療で十分な効果が得られない重症例に対して、JAK阻害薬(オルミエント®、リットフーロ®)などの新しい治療選択肢も登場しています。これらは免疫の異常な働きを抑えることで毛の再生を促す治療法で、一定の条件を満たした場合に使用されます。

円形脱毛症は、自然に改善することもある一方で、再発を繰り返すことも少なくありません。治療の目標は、脱毛の進行を抑え、発毛を促しながら、長期的に症状をコントロールすることです。

脱毛は見た目の変化だけでなく、心理的な負担も大きい疾患です。円形脱毛症は決して珍しい病気ではなく、適切な治療と経過観察により改善が期待できます。脱毛に気づいた際は、早めに皮膚科へご相談ください。

No.16 粉瘤

粉瘤(ふんりゅう)は、皮膚の下に袋ができ、その中に角質や皮脂がたまって生じる良性の皮膚腫瘍です。医学的には表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)と呼ばれ、顔、首、背中、耳の後ろ、わき、臀部など、全身のさまざまな部位に発生します。年齢や性別を問わずみられる比較的よくある皮膚疾患です。

粉瘤は、毛穴や皮膚の一部が皮膚の内側に入り込み、袋状になってしまうことで発生すると考えられています。袋の内側では角質が次々と産生され、少しずつ内容物がたまるため、時間の経過とともにしこりが大きくなります。多くの場合、中央に小さな黒い点(開口部)がみられることがあります。

通常、粉瘤は痛みやかゆみを伴わず、ゆっくりと大きくなるため、長期間放置されることも少なくありません。しかし、細菌感染を起こすと炎症性粉瘤となり、赤く腫れて強い痛みを伴います。化膿すると発熱を伴うこともあり、日常生活に支障をきたすことがあります。

診断は、しこりの位置や触り心地、経過などから行います。多くの場合は視診・触診で診断可能ですが、脂肪腫など他の皮下腫瘤との鑑別が必要な場合もあります。

治療の基本は手術による摘出です。粉瘤は内容物だけを出しても袋が残っていると再発するため、袋ごと完全に取り除くことが重要です。炎症を起こしていない状態であれば、局所麻酔下に比較的小さな切開で摘出することが可能です。一方、炎症が強い場合には、まず切開して膿を出し、炎症が落ち着いてから改めて摘出手術を行うことがあります。

手術方法には、切開して袋を直接取り出す方法や、くり抜き法などがあり、粉瘤の大きさ、部位、炎症の有無によって適した方法を選択します。いずれの方法でも、再発を防ぐためには袋を残さず摘出することが最も重要です。

粉瘤は良性の疾患ですが、自然に治ることはなく、放置すると徐々に大きくなったり、炎症を繰り返す原因となります。自己判断で潰したり圧迫すると、感染や瘢痕形成の原因になるため避けましょう。

気になるしこりがある場合や、赤く腫れて痛みが出てきた場合には、早めに皮膚科を受診することが大切です。当院では、状態に応じた適切な診断と治療を行い、患者さんの負担をできるだけ抑えた対応を心がけています。

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No.17 帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水ぼうそうの原因である水痘・帯状疱疹ウイルスが、体内で再び活性化することで発症する病気です。子どもの頃に水ぼうそうにかかった後、ウイルスは神経に潜伏し続け、加齢や疲労、ストレス、病気などによる免疫力低下をきっかけに再活性化します。日本では80歳までに約3人に1人が発症するといわれています。

初期には、体の片側にピリピリ、チクチクとした痛みや違和感が現れ、その後、赤い発疹や水ぶくれが帯状に出現します。皮膚症状は通常2~4週間ほどで治癒しますが、問題となるのが帯状疱疹後神経痛です。皮疹が治った後も、焼けるような痛みや電気が走るような痛みが数か月から数年続くことがあり、生活の質を大きく低下させます。

帯状疱疹の治療の基本は、抗ウイルス薬の早期投与です。発症からできるだけ早く(目安として72時間以内)治療を開始することで、ウイルスの増殖を抑え、症状の重症化や神経痛への移行リスクを減らすことができます。併せて、強い痛みがある場合には消炎鎮痛剤や、神経障害性疼痛に効果のある薬剤を用いて、痛みを適切にコントロールします。

近年、帯状疱疹ワクチンによる予防が注目されています。帯状疱疹は神経に炎症を起こす病気であり、発症後に強い痛みや生活機能の低下を招くことがあります。こうした影響を背景に、海外の疫学研究では、帯状疱疹を予防することが、認知症の将来的リスクを低減させる可能性が示唆されていますが、因果関係については現在も研究が続けられています。

現在、日本では65歳以上の方を対象に、帯状疱疹ワクチン接種費用の一部について行政による助成制度が設けられており、公的にも接種が推奨されています。ワクチン接種により、帯状疱疹の発症や重症化を防ぎ、帯状疱疹後神経痛のリスクを低下させる効果が期待されています。特に不活化ワクチンは、予防効果が高く、免疫が長期間持続することが確認されています。

帯状疱疹後神経痛は、「なってから治す」よりも「ならないように予防する」ことが何より重要です。一度発症すると、仕事や家事、外出が困難になるほどの痛みが続くケースも少なくありません。ワクチン接種は、将来の生活の質(QOL)を守るための大切な選択肢といえます。

帯状疱疹は年齢とともに誰にでも起こり得る病気です。症状が出てから後悔しないためにも、症状のない今のうちにワクチンによる予防を検討することをおすすめします。接種について不安や疑問がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

No.18 陥入爪

陥入爪(かんにゅうそう)とは、爪の端(爪甲辺縁)が皮膚に食い込み、痛みや炎症を生じる状態を指します。特に足の親指に多くみられ、歩行時の痛みや腫れ、場合によっては化膿を伴うこともあります。
一方で、爪自体が横方向に強く湾曲する状態は「巻き爪」と呼ばれ、陥入爪とは異なる概念ですが、巻き爪が原因となって陥入爪を発症するケースも少なくありません。巻き爪に対しては、弾性ワイヤーによる矯正治療(自費)を行っておりますので、自費診療のページをご参照ください。

陥入爪の原因には、深爪や爪の切り方の癖、窮屈な靴やハイヒールによる圧迫、歩行や運動による機械的刺激などが挙げられます。若年者では薄く扁平な爪、高齢者では加齢に伴う足や爪の形態変化が関与することもあります。

初期には軽い痛みや赤みのみですが、進行すると腫れや滲出液、肉芽(にくげ)と呼ばれる赤く盛り上がった組織が形成され、日常生活に大きな支障をきたします。この段階では自己処置での改善は困難です。

陥入爪の治療は、症状を取り除くことを目的とした保険診療が基本となります。軽症例ではテーピング法やパッキング法などの保存的治療を行い、炎症が強い場合には外用薬や内服薬を併用します。肉芽に対しては液体窒素による凍結療法を行う場合があります。再発を繰り返す場合や重症例では、爪母を温存する外科的治療を検討し、根本的な改善を目指します。

陥入爪は早期に適切な治療を行うことで、痛みや再発を防ぐことが可能です。痛みや腫れが続く場合は、自己判断で放置せず、早めにご相談ください

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No.19 皮膚潰瘍

皮膚潰瘍(ひふかいよう)とは、皮膚の表面だけでなく、その下の組織まで傷が及び、皮膚が欠損した状態を指します。すり傷や切り傷とは異なり、自然に治りにくく、治癒までに時間がかかることが特徴です。痛みや浸出液(じゅくじゅくした液)、悪臭を伴うこともあり、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

皮膚潰瘍の原因はさまざまで、血流障害、圧迫、感染、外傷、基礎疾患などが関係しています。代表的なものとして、動脈や静脈の血流が悪くなることで生じる潰瘍、長時間同じ姿勢が続くことで皮膚が圧迫されて起こる褥瘡(床ずれ)、糖尿病による神経障害や血行不良に伴う潰瘍などが挙げられます。また、外傷や手術後の創がうまく治らず、潰瘍化することもあります。

初期には、皮膚の赤みやただれ、小さな傷として始まることが多いですが、適切な治療が行われないと徐々に深くなり、皮下組織や筋肉にまで及ぶことがあります。感染を伴うと、発赤や腫れ、痛みが強くなり、発熱を引き起こす場合もあります。重症化すると、治療が長期化し、生活の質(QOL)を著しく低下させる原因となります。

皮膚潰瘍の治療では、原因を正確に見極めることが最も重要です。創部の洗浄や適切な被覆材(ドレッシング材)による局所治療に加え、感染がある場合には抗菌薬を使用します。また、血流障害が関与している場合には血流改善のための治療や、圧迫が原因の場合には体位調整や装具の使用など、原因に応じた対策を行います。必要に応じて、壊死した組織を取り除く処置(デブリードマン)を行うこともあります。

さらに、皮膚潰瘍の治療では日常生活でのケアも重要です。患部を清潔に保つこと、過度な圧迫を避けること、栄養状態を整えることなどが治癒を早めるために欠かせません。特に高齢の方や糖尿病をお持ちの方では、早期発見と継続的な治療が重要となります。

皮膚潰瘍は放置すると悪化しやすい病気ですが、早期に適切な治療を行うことで改善が期待できます。治りにくい傷や、痛み・滲出液が続く場合には、自己判断せず早めに皮膚科を受診してください。

No.20 酒さ

酒さ(しゅさ)は、主に中年以降に顔に生じる慢性の炎症性皮膚疾患で、赤ら顔の原因のひとつです。頬や鼻、あご、額などに赤みが出やすく、火照り感やチクチクとした刺激感、皮膚の乾燥を伴うことがあります。見た目がニキビに似ている場合もありますが、ニキビにみられる面皰(毛穴の詰まり)を伴わない点が酒さの特徴です。

酒さは、体質的な要因に加え、皮膚の免疫反応や血管反応が過剰に起こることが関与していると考えられています。紫外線、寒暖差、ストレス、飲酒、香辛料の強い食事、入浴、運動などをきっかけに症状が悪化しやすく、日本人では特に温度差や日光の影響を受けやすいとされています。

症状の現れ方にはいくつかのタイプがあり、赤みが主体の「紅斑血管拡張型」や、赤いブツブツや膿疱を伴う「丘疹膿疱型」が多くみられます。適切な治療を行わずに放置すると、赤みが慢性化し、日常生活や精神的な負担につながることもあります。

治療の中心は、ロゼックスゲルやイオウカンフルローションなどを用いた外用療法です。これらの外用薬は主に丘疹・膿疱の改善を目的として使用されます。赤みや火照りが目立つ場合には、ビブラマイシンの内服や、白虎加人参湯などの漢方薬を併用することもあります。外用薬や内服治療で十分な改善が得られない場合には、IPLやV-beamといった光治療・レーザー治療を自費診療で行うことも検討されます。

また、酒さの治療では日常生活やスキンケアの見直しも非常に重要です。洗顔は低刺激の洗浄料を用い、こすらずやさしく行いましょう。紫外線、飲酒、香辛料の強い食事、急激な温度変化、長時間の入浴などは症状を悪化させることがあるため、可能な範囲で避けることが勧められます。適切な保湿と紫外線対策も、治療の一環として欠かせません。

酒さは見た目の変化から精神的な負担を感じやすい疾患ですが、適切な治療と生活管理を継続することで、症状を安定させ、コントロールすることが可能です。赤ら顔が長く続く場合や、ニキビ治療で改善がみられない場合には、酒さの可能性も考えられますので、早めに皮膚科へご相談ください。

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